性格を培う本

絵本を卒業するころ、簡単な活字を読み始めるころ。

幼いときに読む本は、考え方以前に、趣向や感性に大きな影響を与える。
あたりまえだけど。

そんなころ、ある本を繰り返し読んだ。
そのなかの一話、まじないを書いた紙飛行機を窓から飛ばして異世界に紛れ込む方法が、淡々とした文体で綴られているもの。
なぜかミステリーとかファンタジーのにおいはしない。
そういう、あくまで日常の延長にある、少しだけ奇妙な要素が、たぶん自分を培ってる。ような気がする。

なにかが一周して素直になっていた幼い自分は、
ある雨の強い日に、行動に移した。
雨粒の間を揺曳して消えた紙飛行機に何を念ったのか。

屋根の上に干涸びた紙くずを見つけたのは何日か経ってからのこと。

 

 

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