野球
決まった道を歩かないはずの散歩で、前にもその少年を見た。
家の前の路地で、バットを素振りしている。
前に見たのはいつだったか。
能力や才覚がある程度固まってくると、悪く言えば枯渇してくると、結果にバラツキは少なくなってくる。
その領域においては、わずかな気分の転換で意外にも出口が大きく別れたりするものだ。
違う空気を吸ったり、歩いたりというのもあるいは、そう言うもののうちのひとつなのかもしれない。
前に見た時は、塀垣にボールを投げて取る練習をしていた。
少年はいつまで野球を続けるのか。
素振りを横目に、その先の階段を、今日は昇る。
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